2011年12月25日

迷ったときは原点に

迷ったときは原点に立ち返るのがよいです。

ベンチャー社会に足を置いていると正解というものはありません。正解がすでに出ている物事に取り組んでいるとしたらそれはもはやベンチャーで取り組むよりも規模の経済を利かせて大企業が取り組んだほうがよい。答えがまだないところに新たな公式を見つけ出すという存在価値がある故に、ベンチャーは規模の経済に飲み込まれずに生態系を保つことを許されます。

ベンチャーマンはそんな正解のない課題に取り組んでいるのですから迷うことはたくさんあって当然です。近い課題に取り組む先達がいればまず参照するのが正攻法ですが、それでも多くは体系的に解を導き出せるわけではない。時には何度やってもうまくいかずに心折れそうになることもあるでしょう。そんなときにはまず自分の原点に立ち返ることです。

原点というのは自分がその課題に取り組むことを「決断」した瞬間の思いです。時にそれは起業を決めた瞬間だったり、就・転職を決めた瞬間だったり、事業を定めた瞬間だったりすると思います。

「決断」というのはその課題に向かう熱量が自分の中に溜まりに溜まって爆発お起こすことなので、その瞬間の思いに立ち返ることで迷いを打破する熱量を取り戻すことができます。迷いの多くは熱量が足りずに決められないだけのことだったりしますから。

また、ずっと道が見えずに迷子になった気でいたとしても、ふと俯瞰して見れば原点とその時点の立ち位置を結んだ線の延長に答えは導かれるはずです。たくさんの分岐点を自分なりに選択して今の立ち位置にいるのですから、自分を信じて原点と今とをシンプルに直線で結べばいい。

原点がわかっていればそんなに迷うことはありません。今の自分の原点が何なのかわからなくなっている人は、このお正月にたくさん時間をとって原点を探してみてはいかがでしょう。

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2011年11月06日

ビットバレー再定義の提言

今一度渋谷〜六本木エリアを『ビットバレー』と再定義してテクノロジー産業集積を促すのがいいと思っています。

すでに六本木にはスタートアップコミュニティの拠点が多くYahoo・GREE・Googleが集積し、渋谷は世界最先端の若者文化発信地でありCA・DeNA・mixiらが本拠としています。この2エリアを結んで呼称を再定義してはどうかと思うのです。

ビットバレー

2011年11月現在のTokyoはテクノロジースタートアップにはとても恵まれた環境です。一時嘆かれたシードマネーの不足やバイアウト市場の不在も今は昔。Tokyoの起業エコシステムはブーム第3期(第1期96〜00、第2期04〜07)を迎え、世代間の情報やマネーの循環が成立し始めています。

しかしTokyo起業エコシステムの波及力は未だ脆弱で、特定のコアコミュニティに接触していないと存在を感じることは少ないのが現状です。インターネット産業に従事している起業志望者の中でも現在のシードマネー余剰とスタートアップブームを認識していない人は多数います。

エコシステムの拡大のために草の根的に複数のプレイヤーが認知活動を行っていますが、彼らが頼りにするソーシャル拡散の功罪によって、その活動は特定クラスタへのフリークエンシーを高めるのみで結果的にコアコミュニティのタコツボ化を進行させている面があります。これはたいへん残念なことです。

ここで必要となるのはマスコミ・行政を適切に動かし一般社会を巻き込むための"バズワード"の存在です。かつて"インターネット"や"iモード"がそうであったように。しかしながら起業エコシステムのコミュニティ側が度重なるバズワード浮沈への疲弊と嫌悪故に熱量の一極集中が起こりづらく波及力を欠く姿となっています

ならば一過性のブームとしてのバズワードではなく、米国西海岸同様、地域に則した呼称を起業エコシステムの旗印として共通語化することで解決するのではないだろうかと思うのです。それが冒頭に述べた「ビットバレー」。

99-00年のITバブル当時にその象徴とされた「ビットバレー」は今や過去のものとなっています。ですが実際、当時語られたインターネットとベンチャーの理想はその中心にいた生存者らの力で今や産業としての成立を見ています。今再び「ビットバレー」をTokyoスタートアップエコシステムの象徴と位置づけてはどうでしょうか。

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2011年06月11日

起業から5年・等身大のアントレプレナーシップ論

先日、神戸大学の季刊誌「ビジネス・インサイト」のアントレプレナーシップ特集に寄稿させていただきました。執筆時はツイッター上でたくさんの方にフィードバックをいただきました。お礼を込めてここで文章を公開させていただきます。

『起業から5年・等身大のアントレプレナーシップ論』

■起業とは

「起業とは存在しなかったありがとうを創造すること」。私は起業という言葉をこのように定義している。世の中には殊更に起業を特別視する風潮もあるが、上記のように考えれば起業家精神=アントレプレナーシップは起業家だけが持つものではなく、広く社会に生きる人々すべてが持ちえる概念である。

「存在しなかったありがとう」とは既存の社会の枠組みでは成立していない価値のことである。それはサービスアイデアが斬新であることもあれば、経済的に存続しえなかったコンセプトを新たな仕組みで成立させることもある。またある地域で流行した価値を別の地域に移植するというものもある。

サービスのイノベーション、仕組のイノベーション、流通のイノベーション、これらいずれも新たな価値の創造であり、起業とはこうしたイノベーション活動そのものである。私たち起業家は人や資金を集めてそれを源泉にイノベーションを起こし、創造した価値を社会に届けて利益を生むことを生業とする人種である。

起業家の姿といえば成功を収めた後の華やかな面がクローズアップされがちだが、実際は極めて泥くさく人間的な営みが繰り広げられる日々である。本稿では成長途上の起業家の生身の肌感覚を読者の皆さんに共有したい。

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2006年6月17日マイネット・ジャパン発足集会@銀座 大川ビル屋上

■起業から学んだこと

私の経営する株式会社マイネット・ジャパンは2006年創業のインターネット企業である。2011年3月現在、40名の従業員と1.5億円の資本金で飲食店向けのモバイル集客サービスを営み、黒字経営で成長中である。顧客は全国3万店、外食領域で国内トップシェアとなっている。

現況だけを見れば順調な起業のように映るかも知れない。だがそこまでの軌跡は平坦なものではなかった。起業してからの5年弱の間で見える景色がすっかり変わってしまったものもあればずっと変わらぬものもある。それぞれ3つずつ挙げてみよう。

■事業は一変する

すっかり変わったものの第一は「事業」である。当社の創業事業は「newsing」というニュースコミュニティサイトであった。リリース時は全国紙などにも取り上げられて順風満帆のように見られたが、実際は当初1年間この事業はほとんど無収入だった。アヒルの水かきのように水面下で受託仕事を回しまくった。

「目立つものはすぐには儲からない」。私がここで得た教訓である。メディアが取り上げるのは新奇なものだが、それが新奇なのはそこにまだお金が回っておらず大手が参入していないからである。反対に現在の主力事業であるモバイル集客「ケイティ」は決して目立つ存在ではなかったが、潜伏的に大手が見出していないビジネスモデル(フリーミアム)によって勢力を拡大し、開始2年後に大きくリソースを充てて浮上させて業界1位に昇りつめた。

現在は収益の8割がケイティによるものである。DeNAやミクシィをはじめ私の周囲の起業家でも主力事業が創業事業とは大きく異なるものになっている人は多いが私も同じであった。起業家として存命するには事業の変遷に耐えうる組織を作る力が大切だと感じている。

■資金調達は時の利

変わったものの第二は「金」である。800万円でスタートした資本金は現在1.5億円となっている。創業前にはエクイティファイナンスの知識はほとんどなく、第三者割当増資を行うことなど考えもつかなかったが、外資系金融に勤めていた旧知の友人が社外役員として後押ししてくれたことで当社はベンチャーファイナンスの世界に足を踏み入れることになった。

増資を前に私が執った行動は「初年度黒字と自社サービス2件リリースの絶対達成」を掲げることであった。増資を行う上で投資家側に端的にわかる「おみやげ」を作ることだった。当社はこの目標を達成し、創業9ヶ月でたいへん高い価額算定を受けて最初のファイナンスを行った。

ちなみに黒字を達成した収入の95%は受託収入。投資家側が測るべき自社サービスの成長性はまだ全く未知数であったが、投資側の論理として「黒字化能力をもつ自社サービスベンチャー」として価額がついた。価額が高ければよいというものではないが、高評価を受けた資金調達ができたことで後の選択と集中に伴う赤字期間を乗り越えることができた。

■人の成長と健康問題

変わったものの第三は「人」である。自分も含め、メンバーが成長した。正解の見えない問題を前に悩み苦しみ考え抜いた者ほど大きく成長した。ベンチャーでは人がよく育つというが、大企業では得られない激流のような時間が人を育てることは強く実感した。

しかし問題もあった。ジェットコースターのようなあまりに激動の日々に社員の心身に健康問題が発生することがあった。起業途上においてこれが最も私の頭を悩ませた。この問題への明確な解は未だ見つかっていないが、私が執った行動は事実に対して真摯に立ち向かい責任を正面から受け止め、この問題に十分な人と時間を充てることだった。

社員の心身の健康問題は私の価値観を変えた。起業家というのは自意識過剰なもので、私もご他聞に漏れず「自分と共に道を歩む人は必ず幸せにできる」というような傲慢さを持っていたが、今は一人ひとりの仕事に対する価値観を尊重し、仕事量のマネジメントと社員のケアには特に敏感になっている。

■変わらないもの

創業から決して変わらないものも3つ挙げておこう。

一つ目が朝の風景。創業の日から5年間1日も欠かすことなく朝は全社ミーティングから始まる。創業メンバーが誰も一緒に働いたことがないところからのスタートで、互いが互いを知るためにと創業の日に決めた最も大切なコミュニケーションの時間は、絶えず意味ある姿にとかたちを変えながら今も毎日続いている。

二つ目が理念。当社の理念「どこでもドアの実現」は一見突飛なものだが創業の日から変わらない。人にとって最も大切なものは人であり、人と人が会うところに生まれる刺激や共感という価値をインターネットの力でたくさん生み出していこうという考えは社員全員に一貫したまま、日々なお深まっていく途上にある。

三つ目が人。5年前に起業に参加した創業メンバーの5人、役割は動きながらも今も5人全員が共にいる。当時20代後半だった跳ねっ返りたちも今や40人の会社を率いる重要なポジションを占める。実は未だにその5人だけで酒を飲んだことはない。落ち着いて創業を振り返るような日はまだ先送りにして、互いを信じてただ毎日前進する日々である。


■起業から40人の会社になるまでに学んだ3つのこと

私はまだ起業の第一段階から第二段階に進むくらいのところなので本来まだ過去を振り返っている場合ではない。だが最近よく起業を志す方や起業したばかりの若い方と話す機会があり、その際自分の経験を踏まえていつもお話する内容が3つあるので将来起業を志す方のために記しておきたい。

■1.共に「給料を払う側」に立つパートナーを持つこと

共に経営側に立って逃げ場のない戦場に立ってくれる同志を持つことを強く勧める。「戦場」は私の場合の表現で起業時のスタンスや覚悟によって言葉は異なってよい。要は給料を貰う側でなく払う側に立つ人が自分以外にもいるということだ。

経営者とは社員の給料は借金してでも払って当たり前の立場である。起業後すぐの数ヶ月のキャッシュも見えない、1年後会社があるかもわからない状況で同じ志を持ってそのリスクサイドに立ってくれる相手がいることは社長にとって無上の力となる。

実際的な面でもビジョンに裏書きをする人間がいるということからくる金融機関の信用、役割分担(例えば営業を任せきって自分はサービスに集中するなど)による事業拡張性の担保、権力集中による社長のモラルハザードの回避といった大きな効果がある。

■2.1年半の「創業オーラ」を存分に活かすこと

創業から1年半程度の期間、起業家には「創業オーラ」が身につく。変な宗教の話ではない。創業には通常とは桁違いの熱く強い思いがこもっているものなので、起業家のそのテンションの高さが熱病のように周りに伝わっていく。それが創業オーラである。

この時期は起業家の魅力が爆発しているので、周囲からいいお仕事をいただけたり、PRすればあちこちのメディアで取り上げられたり、レベルの高い人材を採用できたり、社内メンバーも期待以上に活躍してくれたりする。でもその効果は徐々に減衰する。

起業家自身のテンションは変わらなくても周りのテンションは徐々に通常モードになっていく。そのギャップに大火傷することもある。周りのモードが切り替わる前に創業のノリだけではない実力とビジネスモデルを手にしておくことが大事である。

■3.「選択と集中」の決断を行うこと

創業初期から思い通りのビジネスモデルが立ち上がることは滅多にない。上述したが私の周囲でもほぼ全てのベンチャー企業の創業事業は失敗している。失敗の場数を踏み、実力と信用を積んでようやく思い通りのビジネスが立ち上がるものと思っておくとよい。

当初は本業以外のワンショットの仕事がよく舞い込んで来る。それはもちろんありがたいことなのでガツガツやるのもよい。またトレンドや周りの話に影響されていろんな事業に手を出したりすることにもなる。それも場数になるのでよい。

しかし必ず「時は今」と決断して一つの事業を選択し集中しなければならないときが来ることを覚えておいてほしい。リソースの分散状態を廃し、ビジョン・力量・タイミングがピタリと合わさる事業に自身の豪腕で一点集中することなくしてベンチャーとしての飛躍はない。


一人でも多くのベンチャー起業家が起ち、生き残り、社会に価値を生み出し続けられることを強く願っています。

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2011年01月17日

起業から30人の会社になるまでに学んだ3つのこと

マイネット・ジャパンを起業して4年半が経ちました。本当にたくさんの方々のおかげでようやく当初マイルストーンに置いていた「30人の黒字会社」というラインまでやってくることができました。ちなみにそのラインは私が起業を決めた時点のイーマーキュリー(現ミクシィ)をベンチマークしたものです。今はもう次の段階に向けて動き出しています。

まだ起業の第一段階から第二段階に進むくらいのところなので振り返っている場合ではないのですが、最近よく起業を志す方や起業したばかりの若い方とお話する機会があって、その際自分の経験を踏まえていつもお話する内容が3つあるので一度書きとめておこうと思います。

起業から30人の会社になるまでに守っておきたい3つのこと

起業から30人

1.共に「給料を払う側」に立つパートナーを持つこと

共に経営側に立って逃げ場のない戦場に立ってくれる同志を持つことです。←これは私の場合の表現で起業時のスタンスや覚悟によって言葉は異なってよいと思います。要は給料を貰う側でなく払う側に立つ人が自分以外にもいるということです。

経営者とは社員の給料は借金してでも払って当たり前の立場です。起業後すぐの数ヶ月のキャッシュも見えない、1年後会社があるかもわからない状況で同じ志を持ってそのリスクサイドに立ってくれる相手がいることは社長にとって無上の力となります。

実際的な面でもビジョンに裏書きをする人間がいるということからくる金融機関の信用、役割分担(例えば営業を任せきって自分はサービスに集中するなど)による事業拡張性の担保、権力集中による社長のモラルハザードの回避といった大きな効果があります。

2.1年半の「創業オーラ」を存分に活かすこと

創業から1年半程度の期間、起業家には「創業オーラ」が身につきます。変な宗教の話ではありません。創業には通常とは桁違いの熱く強い思いがこもっていますので、起業家のそのテンションの高さが熱病のように周りに伝わっていきます。それが創業オーラです。

この時期は起業家の魅力が爆発していますので、周囲からいいお仕事をいただけたり、PRすればあちこちのメディアで取り上げられたり、レベルの高い人材を採用できたり、社内メンバーも期待以上に活躍してくれたりします。でもその効果は徐々に減衰します。

起業家自身のテンションは変わらなくても周りのテンションは徐々に通常モードになっていきます。そのギャップに大火傷することもあります。周りのモードが切り替わる前に創業のノリだけではない実力とビジネスモデルを手にしておくことが大事です。

3.「選択と集中」の決断を行うこと

創業初期から思い通りのビジネスモデルが立ち上がることは滅多にありません。私の周囲でもほぼ全てのベンチャー企業の創業事業は失敗しています。失敗の場数を踏み、実力と信用を積んでようやく思い通りのビジネスが立ち上がるものと思っておくとよいです。

当初は本業以外のワンショットの仕事がよく舞い込んで来ます。それはもちろんありがたいことなのでガツガツやるのもよいでしょう。またトレンドや周りの話に影響されていろんな事業に手を出したりすることにもなります。それも場数になるのでよいでしょう。

しかし必ず「時は今」と決断して一つの事業を選択し集中しなければならないことを覚えておいてください。リソースの分散状態を廃し、ビジョン・力量・タイミングがピタリと合わさる事業に自身の豪腕で一点集中することなくしてベンチャーとしての飛躍はありません。


一人でも多くのベンチャー起業家が起ち、生き残り、社会に価値を生み出し続けられることを強く願っています。

関連:
起業を志す若い友人へ|近江商人JINBLOG
大企業人の起業が嵌る3つの落とし穴|近江商人JINBLOG

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2009年06月14日

大企業人の起業が嵌る3つの落とし穴

さっきふと気づきましたが、今日6月14日はマイネット・ジャパンという法人の生まれた日。マイネット・ジャパンは2006年7月1日の創業に先立って、2006年6月14日に法人登記をしました。

当時自分はNTTレゾナントの社員として引き継ぎ準備の最後の時間を送っていた時期。幸い周囲の人が起業に理解を示してくれていたため、想像していたほどには会社登記の手続きにそれほど大きな障壁はありませんでした。

このブログを読む人の中で起業を意識する企業人の方もいらっしゃるかと思います。今は時期的に景気動向的にも起業準備にたいへんよい時期だと思います。そんな方に私の小さな大企業出身起業の体験からお伝えできる「大企業人の起業が嵌る3つの落とし穴」を並べてみます。

1.退職前後のものごとを「損得」で決める

ありがちな「ボーナス出てから辞める」などに始まり、飲み会の誘いは「起業後役立ちそうかどうか」で峻別したり、起業してから自分の給料を無理に多くしたり人への払いを無理に少なくしたり。起業モードじゃない頭ならダメな理由は明快にわかることですね。エゴのための起業など長続きしない。

2.創業ご祝儀発注を実力と勘違いする

創業期は起業家や会社の勢いが周囲にいる人を巻き込み、応援の気持ちから元々の縁の方にお仕事をいただけたりします。これは他の起業家に聞いてもほぼ共通します。しかしこれはあくまでご祝儀です。勢いが緩む頃まで(2-3年)に本当の実力を付けていないと全て消えてなくなります。もちろん人間関係まで。

3.売上を前職に頼る

前職以上に相手の求めるものや金の出方がわかる相手はいない。そうなれば営業上、当然前職を上客と捉えて仕事を取りたくなります。相手も”他の業者と比較して”満足してくれたりします。そして気づくと売上比率の7割が前職関連。1人当り人件費は前職70%。体のいい下請(景気変動特約無)がまた一つ出来上がり。それがやりたかったんだっけ?


起業家が生み出す「起業」という麻薬は周りを巻き込み、支援者を巻き込み、そして自分自身を酔わせていきます。そして気づけば起業家自身が麻薬に巻かれて本来の思いを忘れ、起業自体が目的化していく。

理と縁の間に、自分なりの道を拓くのが起業というものだと思います。利に寄り過ぎず、縁を腐すことなく、真に自社の理念を社会に問う姿でありたいものです。

関連: 起業を志す若い友人へ | 近江商人JINBLOG

※追記: ご指摘をいただきました。幸い、マイネット・ジャパンは今のところ上記の落とし穴にはおよそ嵌っていないつもりでおります。嵌った場合の想定シーンは伝聞と想定に基づくフィクションですが、リアリスティックに捉えていただけるとこのエントリの主旨には合うと思います。

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2008年01月15日

企業の生存率

ディマージシェア大内社長がブログエントリーで企業の生存率の数字を引用していらっしゃった。メモ。

トップマネジメントチーム - CNET Venture View

国税庁(2005年)によれば日本の全法人数約255万社の内、
設立5年で約85%の企業が消え、
10年以上存続出来る企業は、6.3%
設立20年続く会社は0.3%

20年で1000分の3、と。挑戦欲が掻き立てられる数字ですね。マイネット・ジャパンは100年の会社を標榜していますが、10000分の1くらいになるのでしょうね。

そして、エントリー内でおっしゃっていることも納得。10年を生き抜いていらした重みがあります。

事業全体を見れる能力を持ち合わせている メンバーを揃えるということ。且つ、そのメンバーは人格者であり、メンバー間の相性や価値観の共有も必要。 こういった「トップマネジメントチーム」をベンチャー企業で作り上げるのは至難の業。ある意味、経営トップとして一番必要とされる能力かも知れません。

私も肝に銘じて、自己成長・チーム作りを進めたいと思います。

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2008年01月13日

起業における10の都市伝説の反証

Dankogaiさんの上げられた起業に関する都市伝説のリストがたいへん面白い。
404 Blog Not Found:惰訳 - 起業における神話トップ10

合州国のことではあるのだけど、日本でも共通してることがあまりに多いので。

あんまり面白かったので、起業から1年半を経た近江商人が自らの状況を可能な限り赤裸々にしつつ、反証を行ってみたいと思います。

1. 起業には大金が必要

『NO』
上原仁個人が創業時に準備できた資金は約400万円でした。'07.3月の増資前に最もキャッシュのやばかったときが100万円切りくらいでしたので、

典型的な起業には、$25,000程度しか必要ありません。

この数字、かなり正確ですね。私の場合は創業してすぐに仲間たちの手持ち金も合わせていったのでその点は特殊かもしれませんが、起業しようとするときの最低個人資金は300-400万円くらいと見ておくのが正解なのではないでしょうか。

2. ベンチャーキャピタリスト(VC)は起業の資金調達手段として適切

『N/A』
私の場合は業種がインターネット関連で、創業9ヶ月目にリクルートさんと住友商事さんのいずれも金融部門(≒VC部門)に資本を入れていただいています。出ている数字で言うと、業種は81%のマジョリティ側ながら、起業段階(創業1年以内)で投資を受けた25%のマイノリティということになります。とは言え、上記2社との接触はいずれも創業以後。起業してからの話でしたよ。

3.エンジェル投資家のほとんどは富豪である

『NO』
私の場合、ミクシィ代表の笠原さん・AMN現取締役の徳力さん・もう1名の計3名に、創業当初に個人出資をいただいています。比率は微少な%で簿価(ex:額面1万円の株を1万円で買ってもらった)です。2006年7月の当時、ミクシィは上場前ですので「金融資産100万ドル以上、年収20万ドル以上」には笠原さんも当たってなかったと思います。徳力さんももう1名の方も当時サラリーマンでしたのでまったくもって富豪ではありませんでした。

4.借り入れでは起業できない

『NO』
マイネット・ジャパンの資本内訳は現状で6,200万円の資本金・資本準備金と、1,000万円の国民生活金融公庫からの借入金(どちらも調べる人が調べたらわかるので公開)となっているので、86%が出資・14%が借入です。起業時から公庫融資を受けていたわけではありませんが、周囲の起業した友人からは「起業するなら何はともあれ公庫融資は使っておき」と言われていました。ここまでの感覚上、たぶんそれは正解です。

5.銀行が起業段階で貸すことはない

『N/A』
これはどうでしょう。日本では「銀行」の方々はまだまだ担保ありきの融資が基本でますので、難しいことは確かだと思います。少なくとも創業期に銀行から融資を受けようと思うと信用保証協会の保証は必須と考えておくのがよいと思います。また、銀行の前に公庫に相談するが吉です。「起業環境が整っていない」と言われる日本ですが、「スモールビジネスを起こす」上では国民生活金融公庫の存在によってUS以上の最強の起業環境になっていると思います。

6. 起業家の多くは見通しが明るい産業で起業する

『YES』
私の場合は、ですね。インターネット産業の見通しは100年明るいと信じられたのでこの業界で起業しました。

7.起業後の成長を決めるのは、起業家の才覚であって起業先の産業ではない

『NO』
これはミクロ視点でも感じます。成長産業にいることでビジネスチャンスも人材流動も社会のアテンション量も多く、成長機会を得ることが多いです。たとえものすごい才覚があっても、成長機会がなければ成長しません。

8.起業家のほとんどは金銭的にみて成功者である

『NO』
私の2007年所得(昨年)は2005年所得(NTT時代)の4分の3です。
ここは驚く人が多いのでしょうね。一度実際に試算してみられるといいと思います。私の場合、3年前本気で起業する気になって、想定売上と家賃・通信費・設備費・人件費などなどを試算してみたときに、自分(社長)の給与収入が大企業サラリーマン時代の収入を上回るには売上3億・社員一人当売上1,200万円以上まで行かないと無理、と悟りました。

9.起業の多くは投資家の満足がいく成長をとげている

『NO』

合州国において毎年起業される59万もの会社のうち、6年以内に年商1億ドルに達するのはわずか200社。年商5千万ドルだと500社。年商500万ドルでさえ、6年間で到達できるのは9,500社にすぎません。

いやー「6年で5000万ドル」とかってDeNA級なわけで。目指していきたいですねー。

10. 起業は楽である

『NO(笑)』
そんなこと思っている人いるんですか?(笑)

ほとんどの人は、起業までたどりつくことにすら失敗しています。

いや、ほんとそうだと思います。ここ10年で「将来起業する」と本気で言っている人に100人以上会ってると思うけど、現時点で本当に起業できているのって10人くらい。

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書く前から予想はしてたけど、何だか身もフタもない内容になってしまったな。だからみんな起業済みの人はこういった現実のことを明文化しないんだろうな。後に続く人が出てくれなさそうな気になってきますね。

でもね、明確に言えることが一つありますよ。

『起業は楽しい』

「楽しい」と言っても遊びで楽しいとかとは異なりますが、やっぱり毎日ひたすら感じる「えも言われぬ充実感」はかけがえがないですね。楽しくて仕方ない。もしもう一度1年半前に戻れたとしても、やっぱり120%起業していると思う。

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2007年04月08日

起業を志す若い友人へ

昨日は、起業を志す若い友人と会っていた。

これまでのキャリアや事業アイデア(あまり詳しく聞いていないが性格的におそらく)はしっかりしている人物なので、そっちのことよりもより起業をする上での心得のような話をしたりした。

私自身まだ起業して1年も経っていないのだからあまりえらそうなことを言える状況ではないのだけど、今、生で感じていることだから、実感をこめて彼に伝えた。彼と同じように「アイデアは固まって資金の目途もあるけど、まだ踏み切れないでいる起業家予備軍」の人々に、少しでも役に立てるといいな、と思う。

1.ゴーイングコンサーンかバイアウトか、はっきりさせておくこと

 ここを中途半端にしておくと、創業時の理念、メンバー、基礎作りにおいてのさまざまな小さな意思決定にぶれが出て、そのぶれが時間とともに大きなずれとなる。バイアウトを目指すならば「そのあと」のこともはっきりさせておくといい。ゴーイングコンサーンを目指すならば「100年の事業計画」を描いてみるといい。

2.社員の10年後を十分にイメージしておくこと

 ジョインしてくれる社員の今のあり様だけでなく、社員に家庭ができ、転職適齢期も過ぎた頃に彼(彼女)がどんなキャリアを歩めるのかまで想像しておくこと。彼(彼女)がずっと自分と共に歩んでくれたときに彼(彼女)が幸せになれる会社設計をしておくべき。

3.「捨てられるもの」の順序をつけておくこと

 今自分の持っているものをすべて並べて、何は捨てることが出来て何は捨てられないか。創業当初自分の給料は月20万円取れたら御の字というところまで自分の生活を捨てられるか。オフィスの見た目なんかボロでも笑い飛ばせるか。人の好意のすべてを受け入れることはできないことを理解できるか。

もっともっと伝えたいことはあるけれど、「時間」という要素が起業予備軍の頭から抜け落ちがちであるところへの気づきを持ってもらえたら、と思う。

間違いなく言いきれることがある。「今楽しければそれでいい」は社員がそう思っているのはOKだけれど、社長が「今楽しければそれでいい」と思っていたなら、その起業は必ず失敗する。

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2007年01月15日

どこでもドアと起業のこと

インターネットが普及することで「個人が主役」の時代がやってくる、という考え方はインターネット草創期から語られていたことです。今回のWeb2.0のブームの中でも、再びその考え方は強く喧伝されました。

実際、これから長い月日をかけて「個人が主役」の時代は進んでいくと思うし、それが本当に行ききったときには国も会社も学校さえもセーフティネットとしての機能以外は不要になっていくのだろうと思います。それは資本主義が構成したハイアラーキー構造の社会から、ネットワーク時代に適したフラット構造の社会へ進化する中での必然だと思います。

2004年以降インターネットに住んでみながら肌感覚で感じたそんな未来を認識していながら、私は2006年に会社を自分で立ち上げるという行動をとりました。ある側面から見れば時代逆行、非インターネット的行動に見えるものだったようにも思います。きっとこの辺りの感覚を同じくしている友が一旦私の起業に疑問を呈したりすることがあったのもそういうところが理由だろうな、と感じていたりします(今は大応援してくれていますが)。

私が起業した理由は明確に「どこでもドアを実現するため」(今の会社の企業理念が「どこでもドアを実現する」である通り)なのですが、この言葉には自分の中であまりに多くの思考・思想を詰め込み過ぎているので、なかなか文字では表現しにくいところもあります。そんな多くの思考・思想の中で、いくつかを紐解いておこうと思います。

まず、起業する上でインターネットというフィールドを選んだのは、私の中にある「どこでもドア」に現時点で一番近いと感じられたものが、一人ひとりがノードとなってネットワーク型につながり、そこで人同士が時空を超えて知識・知恵・感情を交わらせるインターネットの姿にあったからです。そして、起業という方法を選択した理由は、自分の中にある「どこでもドア」は「広くあまねく万人に喜びを感じてもらえるもの」であるからです。

個人がノードに(≒主役)になる時代を感じさせる要素はWeb2.0という現象の中に大量に詰まっていました。ブログであり、SNSであり、タギング、フォークソノミー、ロングテール、などなど。ただ、今回の大きな波の中で「主役になる権利」を得た人の数は日本国内では600万人(ブログのアクティブライターとmixiのアクティブユーザーの実数推計)というところです。まだまだ人口の5%です。

次の進化はケータイの世界で起ころうとしていて、そこには接続可能な人口が8000万人いる状況で進化が進行していきますが、どこでもドア的意味合いの便益もその普及もまだまだそれで行ききるわけでもありません。

そういった「普及」というものを内包した進化を進める上においては、まだ未完成なインターネットの中での一人ひとりの力のネットワーキングだけでは推進力に欠け、資本主義下のフレームワークであるところの会社組織というスタイルを選択することがどこでもドア実現への近道であると考えました。ある意味、インターネットの本質であるところの「個人が主役」の状態から逆方向に向かうことによってしか、普及を前に進めることはできない、という思考です。

ただここで強く感じていたことは、資本主義下の会社組織のフレームワークそのままでインターネットを生業とする会社を組み立てたりしてはいけない、ということです。そんなことをしては、インターネット的を突き詰めることで初めて完成に向かうであろうどこでもドアを創る会社が、その実現型とは反対の方向を向いていることになってしまうわけです。一人ひとりが主役になる、一人ひとりが生き生きとHumanとして活躍できる社会になっていることが企業理念体現の必要条件なのだから、一人ひとりが主役になり、一人ひとりが生き生きとHumanとして活躍できる会社でなくてはならない。

また、そこにはもう一つの要素があります。まだまだ広くあまねく万人がネットワーク社会のノードになることには大きな垣根があるのと同じように、一人ひとりが生き生きとHumanすることを独立独歩で成せる人間なんてとても限られている、ということです。人はみんなそんなに強くない。みんながメタ的にアルファブロガーな存在になれるわけではない。程度の差はあれど、99.9%以上の人間は個として成立するために寄って立つところを持っていなくてはうまく個を形作れない。

だから、インターネットの進化を前に進めようと考える「か弱き個」が寄って立つところ、価値創出基盤であり、相互扶助基盤となる「会社」というものを創って、その会社が個人が主役となるための場であったり発射台として機能すればよい。そんなことを考えながら、会社を創りはじめた、ということです。


と、どこでもドアを創るための会社はやはりどこでもドア的なものでなくてはならないと考えている、という話をしたくて書き出した文章でしたが、まとまりなくなるのは書き出した時点でわかっていました失礼。ただ、私の頭の中の「どこでもドア」と「会社」というものがどのように結びついているかを少し紐解いておきたいと思って徒然に書いてみました。また続きを書くかもしれません。

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2005年02月13日

ネット起業と情報過多

情報過多である。

いまどき、何か新しいビジネスをやろうとしたときには周りのだれかがそのビジネスの経験があったり経験者の体験談を知っていたりする。それがネット周辺のビジネスであればなおさらである。「コミュニティはもうからないよ」とか、「メルマガはもうだめだね」とか、「直販は在庫リスクがあるからやめとけ」とか。

マスメディアの選別を介さずに情報が発信されるようになったり情報伝達のコストが大幅に低減されたりという、インターネット革命の最も初期的な影響がこういったところに表れているのかもしれない。

しかし、インターネット社会は一年一昔の時間軸で流れている。そしてインターネットで全ての情報要素を伝達できるわけではない。そのことを忘れて、過去の顧客層・顧客規模・消費者マインド・生活時間シェア・インフラ状況などなどの中での失敗体験の肝かどうかもわからない情報でビジネスを判断していては思考もチャンスも深まることはない。

「どんなアイデアも、自分が初めて考えたなどとは考えないことだ。成功とは、それを実行してみて、試行錯誤で最後までやりきって、それが時の利を得ていたならば自ずと手に入っているものだ。」

まあ、まずはやってみることですよ。ネットビジネスは初期投資の小ささが魅力ですからね。

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