2005年05月21日
カルビー松尾社長と進化型日本的経営
昨日は僭越ながらNBCの研究部会にて「近江商人の経営」についての講演などさせていただきました。「三方よし」について、まだまだ底の浅い解釈と拙い説明となりましたが、機会をいただきました井上様とご聴講くださいました皆様に御礼申し上げます。
同座くださったカルビーの松尾社長が講演の中で「鎖国性を超えて日本的経営を進化させなくてはならない」という主旨のお話をなさいました。このお話は然り、と感じました。
私は学生時代に学問としての経営学を学んだ経緯があるのですが、当時はまだバブル期以前の日本的経営の強みのみを解析しようという機運が色濃く、その長期的視点での利益追求や家族主義・経営福祉主義的な人事・労務管理、質素倹約を是とする気質からムリ・ムダ・ムラを無くすことの追求により導き出されたTQCやカンバン方式、といった日本的経営手法がベストメソッドのごとくに語られていました。私が近江商人の経営や思想の理解・体現をライフワークと位置づけた意味も、そういった日本的経営の根源の一つがそこにあると認識したことにあります。
しかし、特にこの5年程の間に一気に押し寄せてきた米国型の短期合理主義経営・株式絶対主義経営が日本企業を席巻している姿には、どこか違和感を感じつつも、反面これまでの特に財務的にあいまいや自己保護的な運用を良しとしてきた中で発生している日本企業の腐敗・凋落度合を見るにつけ、より経営の行動軸を短期・合理に片寄せることも止むを得ないことと感じていました。
そんな中で昨日改めて感じたことは、日本的経営にはやはり日本の地理・民族性・歴史といったバックグラウンドが育んだ明確な強さがあり、ただそれを守ったり捨てたりという0・1の議論ではなく、少子高齢化やアジア諸国との経済的境界排除といった今日的な背景を加味した、日本的メソッドの取捨選択と米国型メソッドの利点吸収を経た、新たな筋肉質の経営手法に進化させなくてはならないのだ、ということでした。
松尾社長は実例として自社のバランス・スコアカード(BSC)手法(財務的業績評価指標と非財務的業績評価指標を併用することによって、企業の将来、現在、過去の活動が適正かどうかを判断する手法)の成功を語っていらっしゃいましたが、私も先人の例を学んで進化型日本的経営の思考を深め、体現していきたいと感じた次第です。
新たな気付きをくださった松尾社長に感謝します。経営を語るときの厳しい表情も、お孫さんのお話をするときの素敵な笑顔も大切にされて、これからも一層ご活躍されることをお祈り申し上げます。
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