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2005年10月24日

Folksonomy -ユーザーサービスへのインパクト

Web2.0の重要項目の一つである「Folksonomy」について、その適用の最たるものは「ソーシャルブックマーク」と「タギング」であるが、これらの蓄積がユーザーサービスに与えるインパクトについて解説する。

ここで「タギング」「タグ」とは、Yahoo!ディレクトリのように一つの視点から階層構造でコンテンツを分類するのではなく、ユーザー一人一人がそれぞれの視点で判断した分類ワードをコンテンツに付加して分類する行為のことである。

USではタギングを実装するブログが増えているようだ。「Folksonomy」の実体化が進んでいるということになる。 参考:米国の人気ブログ“Daily Kos”もタギングを開始 -メディア・パブ

日本でのタギングと言えば、今のところ「はてな」のソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」において、ユーザーがブックマーク時に思い思いのタグを振る、というものが最も普及している実例と言えるだろう。βリリースから8ヶ月を経たはてなブックマークはそのブックマークページも相当数に上り、「はてな市民」と呼ばれる一つの大規模コミュニティにとっての「ソーシャルニュース」「ソーシャルサーチ」サービスとして成立し始めている。

例えば、先日リニューアルしたはてなのTOPページの中央位置にははてなユーザーによるブックマーク数が多い新鮮なページが注目記事として並ぶ。これは「はてな市民」(一般的にはギークやいい意味の”おたく”が多いといわれる)という一つのクラスタに属する人々にとっては、自分と属性の近い他の多くのユーザーが支持した記事を容易に発見できると言う意味でたいへん便利で、自分でネットサーフィンする時間の短縮にもなる。ユーザーにとっては提供者側がお仕着せで用意するニュース(例えばYahoo!TOPのニューストピックスなど)よりもよほど自分に必要な情報が集約されている。

この意味で、はてなブックマークは日本における「ソーシャルニュース」の先行事例となっているといえるだろう。

今後ブックマークされる記事が増加するにつれて、ギークやおたくだけに限らないより広範なコミュニティの必要記事情報が蓄積されていくと思われるが、そうなったときに重要度を増すのが「タグ」の存在である。例えば「育児」「母乳」「夜泣き」等の育児関連ワードでタギングされたページのみを抽出して現在のはてなTOP注目記事と同様のロジックで提供した場合、おそらく育児コミュニティの人々にとっては大変重宝するニュース一覧となるだろうし、その記事リストはベネッセウィメンズパークgooベビーなどの既存育児コミュニティの運営事業者には垂涎の的となるだろう。同様のことは他のあらゆるユーザー行動ジャンルのコミュニティにも適用できる。

この手法によって、はてなはCGM時代のニュース(クリッピング)プロバイダーの立ち位置を獲得できるかもしれない。

また「ソーシャルサーチ」の側面でもやはりはてなブックマーク は日本の先行事例となっている。例えば、はてなブックマークのTOPページ右脇の検索BOXで「ajax」(Web2.0的なプログラミング言語セット)と記事検索してみると、最上位には「日本語で読めるAjax関連情報のリンク集」という、プログラマーであれその周辺事項を学びたい人間であれ重宝しそうなページが表示され、その後にもajaxでのプログラミング事例や解説のページが並ぶ。翻ってGoogleで「ajax」と検索したときには、「AJAX」というオランダサッカーのクラブチームの公式サイトと思しきページが最上位に来る。ギークに限らずともはてなユーザーにとってどちらの検索結果が望ましいものかは一目瞭然である。Google先生のGlobal&Usualな視点で言えばオランダのサッカーサイトの方が上位であるべきかも知れないが、少なくとも「はてな市民」にとっては「ajax」と言えばプログラムのお話であり、しかも日本語であってほしいし、ある程度以上のITリテラシを前提にしていてくれてよいのである。

この例は、検索本来の「答えや欲求に近い結果を表示する」というあるべき姿に近づくための方法として、その人の所属するコミュニティの全体知を検索結果に反映するという「ソーシャルサーチ」の概念の端的な例として見ることができる。また、はてなブックマークでの検索結果の場合、近い属性の他人がすでにブックマークしたページ(=ある程度重要であるというフィルターを通ったページ)のみが検索対象になるところもポイントである。

上記の例では記事検索を前提としたが、例えば記事の内容がajaxについてのものであったり、より記事タイトルに現れにくい語での検索をしたい折には再び「タグ」の存在が力を発揮する。「タグ検索」を使用した場合は、他の人が既にそのタグで分類したページのみが検索結果として表示されるため、記事検索よりもなお一層ソーシャルチューニングされた検索となるのだ。

このように、国内では「はてな」が先行しているソーシャルブックマークとタギングによるFolksonomyの実践は、ソーシャルニュースやソーシャルサーチといったWeb2.0的インターネットサービスの基盤として既に機能し始めている。技術的にもインターネットリテラシ的にも先進層のユーザーを有するはてなであったからこれが可能となっているのだが、この先行者利得をはてなが今後十分に活かしていけるかは注目に値する。

またおそらく、今後多くのサービス提供者がFolksonomyの概念を自社のサービスに組み込んでいくことになると思われるが、その適用においてはユーザー協調の素地(Participation)や一定の性善説(Radical Trust)が行き渡ったコミュニティを有していないと、この概念は破綻してしまうものであることも忘れてはならない。

参考: Web2.0 とは -7つの分類と要素MAP


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