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2005年11月25日

Web2.0を支える1:M:Nの構造 -User as Contributor

このところWeb2.0というワード自体について「ギーク向けのマーケティング用語だ」とか「インターネットの一般ユーザーには関係ない」といった言葉が飛び交っているのを見て、改めて私が捉えているWeb2.0とそのベースを示したいと感じましたので、そのことを少し書き記してみます。

■Web2.0=”インターネットらしさ”の追求
私は「Web2.0」とは、「インターネットの”インターネットらしさ”を引き出すためにみんなで改めて技術・ビジネス・ユーザーそれぞれの観点で思考してみよう」という掛け声を言語化した意味あるBuzzワードだと思っています。”インターネットらしさ”というMemeに一部の人が酔って、それが実体化する前にはじけてしまったネットバブル以降、環境が変化して再びそのMemeに吸い寄せられる人が増えてきた現象に、たまたま「Web2.0」という名称が充てられたのだと思います。その”インターネットらしさ”をもう少し噛み砕くと、以下の3つの言葉になります。

・ユーザー基点
・オープン志向
・ネットワーク外部性

それを概念図にしたのが以下の図です。

その”インターネットらしさ”を深める議論を進めやすい最初のわかりやすいお題として、ネットバブル以降の5年間で誕生・成長した”インターネットらしい”サービスやビジネスを体系的に俯瞰してみよう、というのがO'Reillyの「What is Web2.0」だったのだろうと思います。
CNETの日本語訳
ローカライズしたWeb2.0体系図

■インターネットユーザーの社会構成
Web2.0を議論する時に、現在のインターネット社会の社会構成を把握しておくことが必要だと思っています。下図は、Web2.0を議論する視点で捉えた社会構成です。

ここでは詳細の人口統計を知ることではなく、議論する人が接触可能なコミュニティ範囲ではない全体像を認識することに目的を置いて図解しています。「Web2.0はギークのためだけの遊び言葉」とか「Web2.0は結局一般ユーザーには何のメリットもない」といった短視眼的結論(すなわちこの論点における思考停止)は避けたい、という意図も含んでいます。

この社会構成から捉えることができるのは、現在のインターネットサービスのプレイヤーは「1:M:N」の構造になっているということです。よくニュースや情報サービスのようなメディア型のサービスを1:N、コミュニティ型のサービスをN:Nと表現することがありますが、ブログやSNSといったCGM(コンシューマ・ジェネレイティッド・メディア)へのユーザー参加が一定のマスを捉え始めた現状においては、そのCGMインフラの提供者を「1」、CGM参加者を「M」、CGMの読者・一般ユーザーを「N」と位置づけて捉えると、Web2.0的なインターネットサービスとそのビジネスの有様を把握しやすくなります。

■「1:M:N」の構造は”User as Contributor”を促す
例えばブログサービスにおいて、「1」はブログ事業者、「M」はブログ開設者、「N」はブログ読者となります。上図で言うと、「1」には総務省的には現在33社あるとしているブログ事業者が当てはまり、「M」はアクティブブロガー150万人(Blogfan.orgのブログサービス比較より推計)、「N」はブログ読者にあたるネットユーザー3,000万人が当てはまります。

ビジネスの視点で言うと、ライブドアのようにユーザーのブログにBlogclickのような広告を設置して自社収入としているブログ事業者の場合、「M」のアクティブブロガーは自社の広告媒体を自発的に生成してくれる協力者であり、「N」のブログ読者がその広告をクリックしてクライアント経由で自社への収入を生み出してくれるエンドユーザーということになります。Web2.0の要素で言うと「User as Contributor -ユーザーは協力者」という言葉で表されている部分です。

これをもう少し広い視点で捉えると、WebサービスとしてAPIを公開しているサービスもこの構造に則っていることがわかります。例えば自社データベースをAPI公開しているAmazonのAmazonWebServiceやGoogleのGoogleMapなどは、そのAPIを使ってMashUpしたサービスを作成して公開してくれているギークたちが「M」にあたり、そのMashUpサービス(AmazonWebServiceの例では伊藤直也氏のAmazlet、Google Mapの例でははてなマップなど)を利用するブロガーらが「N」にあたります。

ビジネス的には、AmazonとAmazletの場合、Amazletツールというブロガーがアフィリエイトで収益を上げるためのソース作成を簡単にするツールを介してAmazonアフィリエイトブロガーが増加し、それによって増産されたAmazonへのリンク掲載メディアを経由して一般ユーザーが商品を購入し、その売上がAmazonの元に戻ってくる、という回転です。

GoogleMapとはてなマップの関係の場合、GoogleMap上にブロガーが画像などをプロットできるはてなマップというサービスがあることによって、ブロガーが自発的にはてなマップをコンテンツで彩ってゆき、その彩られたマップに惹かれてはてなマップを見に来るユーザーが多くなってくるころには、Googleは規約で明記している「GoogleMapを利用して作成されたMapサービス上に広告を掲載する権利」を行使してきて、育ったはてなマップのメディア力を自社の広告収入に転化する、ということになるでしょう。

これらのWebサービスについては厳密には「1:L:M:N」という4層構造になるかもしれませんが、いずれにしてもAmazonやGoogleにとってのユーザーであるギークたちが協力者となってエンドユーザーにベネフィットを提供しつつ、事業者のビジネスモデルに巻き込んでいく形になっていることには変わりありません。

■参考:というか、これらをポジティブに具体例を挙げて拡大解釈してみました
「Web 2.0」とやらについていけない人、集まれ!! -切込隊長BLOG(ブログ)
Geek 2.0 -404 Blog Not Found
ウェブ2.0=インターネットは依然としてG(ギーク)toGである -ガ島通信
Web2.0はgeek向けのマーケティングか? -masahikosatoh.com
Web2.0とは象である――Web2.0のミームを再配置してみた -Heartlogic


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