2009年05月09日
メディア論 -新しいメディアの姿に対する一考察
明日某所で「新しいメディアの姿」というテーマで議論することになっていますので少し下書き。
「メディア」と言っても前後の文脈で全く意味が異なってくる語ですので扱うのがたいへん難しいところですが、ここではおそらく「ソーシャルメディアの進化とマスメディアの構造疲労」というところになるかと思います。
ここで「ソーシャルメディア」とはブログ・SNSを中心とする「個人発信メディア」と、その力を増幅・整理するSBM/ソーシャルニュースやウェブソース媒体(J-CAST等)などの「ミドルメディア」を指しています。UIはPCであれ携帯であれ、ここ5年で小さな爆発と淘汰を繰り返しながら一気に社会的な存在感を増したと言えるでしょう。
ソーシャルメディアの進化ベクトルは2つに大きく分かれます。「マスメディア対抗」を軸として1:Nチャネルの多様化を生んだベクトルと、「ネットワーク」を軸としてN:Nのコミュニケーション拡張を生んだベクトル。
ソーシャルメディアに参加する生活者の態度もいずれかのベクトルに因っていますが、日本国内では後者のベクトルの方に振れる層が多く、結果的に日記ベースのSNSであるmixiや携帯コミュニティの成長速度が速くなっています。
前者の「マスメディア対抗」のベクトルはその進化を牽引できるリーダー(それが個人であれ何らかのミドルメディア事業者であれ)の不在と裾野の狭さによって緩やかな成長に止まっているのが現状と言えます。
「マスメディア対抗」のベクトルにそれほど勢いがないことと、元来マスメディアが5大紙グループに偏って強大であることが相まって、国内では「マスメディアVSソーシャルメディア」というような論点を起こしてもあまり火が着きません。ソーシャルメディアはマスメディアの対抗軸たりえていない(そもそもそうあるべきかも見えない)、というのが現状です。
そんな中ですが、マスメディアが構造疲労から自己崩壊を起こしているのは事実です。要因は生活者ニーズの多様化、ドメスティックな消費経済の成長停止、管理職以上の高齢化と人件費高騰などにあり、結果として、視聴者・購読者の減、広告収入のマイナス成長、高コスト・守旧体質による新規事業の停滞、押し紙などの流通網いじめ、下請いじめ、消費者の欺き、低俗化と、かつての隆盛からは見る影もありません。
ではマスメディアはこのまま終焉を迎えるのかというとそう簡単にはいきません。
メディアというものを考える上で、構造を6つのレイヤに分けてみると捉えやすくなります。
1.対象: 視聴者・購読者・読者の層・量
2.端末: ユーザーインターフェース
3.流通: ディストリビューション
4.中身: コンテンツ
5.思想: バックグラウンド
6.商流: ビジネスモデル
例えば「新聞(全国紙)」というメディアの場合で考えると、
1.対象: 壮年中心の購読者
2.端末: 紙面・宅配
3.流通: 全国の宅配販売網・再販制度
4.中身: 取材網・編集力
5.思想: ジャーナリズム
6.商流: 購読料・広告料
「地上波放送(キー局)」というメディアの場合で考えると、
1.対象: 主婦中心の視聴者
2.端末: TV受像機
3.流通: 電波・行政に守られた既得権
4.中身: 同時性・創作力
5.思想: 楽しくなくちゃテレビじゃない(古い?)
6.商流: 広告料
ということになります。
マスメディアの構造疲労をこの層別で見ると、
1.対象が見えていない、欺いている
2.端末と流通がバンドルされている
3.元来強みの源泉だった流通網が最も疲弊している
4.コンテンツ創出力は未だ比類ない★
5.思想の欠如が見られる
6.ビジネスはガタついている
ということになるでしょうか。
ここで★をつけた4.コンテンツ創出力 については今もなお代替不能なものであり、これを以ってメディアのコンピタンスと捉えてよいのではないでしょうか。私がマスメディアの方とお話する折によく「ネット媒体に記事卸すなら0一個大きな額にすべき。で、収益性成長性の低い自社のネット媒体などは閉鎖してコンピタンス強化と既存ビジネス死守に集中すべき。」と主張する所以です。
長くなったので端折ると、
「新しいメディアの姿」というのは、然るべき「思想」の下に、適切に絞られた「対象」の求めに応じて、その対象の層と規模に応じた「ビジネスモデル」と投資規模が組まれ、マスメディアの創出力とソーシャルメディアの生の声DBが組み合わされた「コンテンツ」が、「端末」・「流通」アンバンドル/マルチプラットフォームで提供されることを通じて実現するものだと思います。
それに現時点で最も近い存在は・・・ newsing(ニューシング)だということでここはどうぞ一つよろしくお願いします。
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